音楽専門誌 rockin’onが創刊50周年を迎えた。
といっても、ふらっと寄った書店でたまたま記念号を見つけたという地味な出会いである。



私がrockin’onを知ったのは高校1年のとき。
当時の音楽誌は、活字よりも海外アーティストの写真がふんだんに盛り込まれた”眺める雑誌”が売れていた(たぶん今も同じだろう)わけだが、音楽評論を中心とした”読み込む雑誌”はrockin’onくらいだった。


私はごく普通の、ありふれた高校生だったが、音楽だけは尖っていた(つもりだった)。
編集者も投稿者もみな評論家気分で理屈っぽくストイックに持論を展開しており、それを読んでは理屈っぽくロックを聴いて過ごしていた。
Led Zeppelinが好きだったし、Led Zeppelin信者?の編集長・渋谷陽一氏の文章や音楽へのスタンスも好きだった。

私が初めて買った号は、1981年(昭和56年)の9月号、通巻78号だった。
なぜ、ここまでしっかりと覚えているのか?
答えは「現物が手元にあるから」なのだが、それは過去の記事を参照していただくとして、何年ぶりかでこの雑誌を買った。直近では2009年の忌野清志郎追悼号、それも「JAPAN」だったから、本家は30年以上、買ってなかったと思う。



本の構成は、表紙のほか、綴じ込みにも創刊号から最新651号までの表紙写真がズラリ!と並んでいて、壮観だ。



「おっ、これ覚えてるぞ!」という号も結構あるし、学生時代の記憶とリンクしたりする。
ふり返れば、学校を卒業して、就職と同時に買わなくなった気がする。
就職直後は音楽どころじゃなかったからなぁ・・・

内容はそのほか、1972年創刊号の「創刊の辞」があったり

過去の記事が再掲されていたり

と、充実の内容なのだ。
ちなみにこの記事、U2のメンバーがアルバムについて語っているが、どのアルバムかわからない。
1987年ということは、おそらく名盤「The Joshua Tree」のことなんだろう。
などと、いろいろ楽しんで読める。

多感な高校時代に少々小難しい音楽評をむさぼり読んでいたので、少々小難しいおっさんになってしまった私だが、同時に語彙や文章力も培われたと思っており、それは渋谷陽一氏ら創刊メンバーも想定できなかったrockin’on効果だろう。
久々に学生時代を思い出せて新鮮だった。
次の記念号はいつなのか、また地味に待つこととしよう。



<追伸>
U2の記事を読んで「The Joshua Tree」が聴きたくなり、CDを引っ張り出してきた。
公式盤、そしてイタリア製の”半分公式+半分海賊”というライブ盤だ。
U2は海賊盤に寛容な数少ないバンドだが、ロックから演歌まで、すべての音楽家の人生を脅かす海賊盤(ブートレグ)には絶対に手を出さないようにしましょう!