胸に「流星」をつけるのは、ウルトラマンの科学特捜隊。
地球と人類を守るため、誇りを持って任務にあたる。
私の胸には「矢羽(やばね)」。
私のご飯と小遣いを守るため、ホコリにまみれ仕事する。

万年筆ヘビーユーザーを自負する私も、オフィスでは専らボールペンを使う。
矢羽クリップは英国王室御用達(ロイヤルワラント)、Parkerの象徴なのだ。
Parkerとの出会いは15年ほど前、転勤の際に「Sonnet」というボールペンをいただき、以来大切に使ってきた。

職業人生のゴールが見えてきた昨今だったが、65歳まで先送りされたことだし、ならば仕切り直そうと(いう大義名分で)、フラッグシップモデル「Duofold」の入手に思い至った。

ただし、狙いはラグジュアリーな現行型ではなく、ミニマルな旧型。
さらに、軸色など豊富なバリエーションがある中、清廉な印象のブラック軸+プラチナトリムに照準を合わせた。

しかし、廃番となってから数年経っており、なかなか見つからない。
もはや入手不可能かと思いつつも、諦めずに3か月ほど宝探しを続け、ようやくアメリ力のショップで眠っていた新品を掘り当てた。

海の向こうからやって来た美しい佇まいのボールペン。
やや低い位置にあるクリップは、胸に刺しても天冠部だけでDuofold だと判るよう、計算し尽くされたデザインなのだろう。


ペンの重さ、軸の太さ、重心の位置は絶妙で、筆記具としての性能も申し分ない。

職人が丹精込めて作ったペンを胸にさすと背筋も気持ちもシャキッとするし、いい仕事ができる(ような気になる)。
ペーパーレス化が進み、いずれは手書き書類などなくなってしまうのだろうけど。
さあ、リタイヤまで気持ちも新たにがんばるぞ!