ご無沙汰しております。

私の悪いクセで、買った本を放置したまま、その上に次に買った本を積み上げ、いつしか下敷きになっている本を忘れてしまう。
これを”つんどく”(積ん読)というのだが、5年前の本を今さらながら読んでみた。

掘り返したのは、フランスの芸術家?セルジュ・ゲンズブールの伝記である。
「芸術家?」なのは、画家であり、作詞・作曲家、歌手、映画監督、俳優と、まあ、いろんなものに手を出しているのだが、シャンソンでそこそこ売れはしたものの、映画界では最後まで鳴かず飛ばずというテイタラクだからだ。
私生活では女と酒に溺れ、心臓発作で死ぬまで破天荒で孤独な人生を送った。

『セルジュ・ゲンズブール バンド・デシネで読むその人生と音楽と女たち』は彼の62年という短い生涯を、フランスでは9番目のアート(le neuvieme art)といわれるバンド・デシネで描いたもの。
2016年にゲンズブール没後25周年ということで1500部限定で発売、5年埋もれていたので、すでに没後30年なのだ(苦笑)

ここで、バンド・デシネ(B.D.)に触れておこう。
B.D.は、ひと言でいえばフランス語圏のマンガである。
下に本書の抜粋(原書版)を載せるので、ご覧になればどんなものか、お分かりいただけると思う。
B.D.は書店の洋書コーナーで見ることができるし、最近では本書のように翻訳されたものもたくさん出版されている。
アートと呼ばれる領域の仕上りなので、絵は美しく、作家のこだわりを感じる。
日本のマンガとはひと味違った楽しみ方ができるだろう。

本書に登場する人物~ゲンズブールだけでなく、ブリジット・バルドーやジェーン・バーキン(あのエルメスのバーキンね)などもよく似せて描かれているのだが、ゲンズブールが徐々に落ちぶれ、汚れていく様も実によく描かれている。

さて、ゲンズブールの生涯はネットで調べられるし、彼の音楽もYoutubeでも聴くことができるわけだが、彼の生き方、みなさんはどう思うだろうか?
オビには
“フランス人が愛して、憧れた人生がここにある”
と書かれているけれど。

私?
やらないし、できないね・・・