日本では日銀・黒田総裁の金融緩和政策が波紋を広げている今日この頃。
これはFRB(アメリカ連邦準備制度理事会)議長がアラン・グリーンスパンだった頃、僕のオフィスでの出来事。

(予備知識)
FRB議長は日本でいう日銀総裁のような存在で、その発言はマーケットに大きな影響を与えることがあります。

もうすぐランチタイム。
ボスが女性社員Yを居室に呼び入れ、
『おい、グリーンスパンは何て言ってんだ?』
と質問した。

このボス、質問せずとも答えは知っているのだが、日頃から『日経新聞を読め!朝はモーニングサテライト、夜はWBSで経済を学べ!』と部下を叱咤しており、ナイル川のワニのように部下を居室に引きずり込んでは、部下の勉強の成果を試すという変態であった。
つまり、その日はY女史がナイル川のほとりの小動物のごとく、ワニの標的となったわけだ。

一方のY女史といえば、そんなボスの熱い想いを全くもって裏切っていた。
(へ? グ、グリーンスパン? なにそれ・・・)

『おい、グリーンスパンは何て言っているんだっ?』
再度、ワニから質問が飛ぶ。

(うううう・・・)
か弱き小動物は、もはやワニの餌食となりつつあった。

ところがY女史、しばしの沈黙の後、答えが閃いたようで、

「ボス、わかりました~♪ では、後ほど!」

と足取りも軽く、ボス部屋を出て行った。

そして訪れたランチタイム。
再びボス部屋に現れたY女史、自信たっぷりに”あるもの”をボスに手渡した。
「ボス、買ってきましたよ~♪」

『な!なんなんだ、これは?』

・・・手渡された”あるもの”。
それは、うぐいすパンだった。

Y女史は「緑色(グリーン)のパンってどんなパンだろう?」と考え、そして、緑色のあんこが入ったパンを売店で買い求めたのだった。

かくして、Y女史の経済活動は、120円の投資で健全に確保された。
しかし、ボスの評価は、うぐいすパンほど甘くはないのであった。