マリア・カラス 椿姫

前回の新刊紹介に続き、文化的な話題を(笑)

朝ドラ「エール」でヴェルディの『椿姫』が取り上げられたので、久々にCDを引っ張り出して聴いてみた。

素材は1955年5月、ミラノでの公演。
舞台演出は映画監督、脚本家としても名を馳せた巨匠、ルキノ・ヴィスコンティ
そして。ヴィスコンティはこれまでのオペラのスタイルを一新しただけでなく、ひとりの歌姫を大女優に仕立て上げた。

その大女優・・・この物語のヒロインであるヴィオレッタは、キャリアのピークへ駆け登るマリア・カラスだった。

このミラノ公演は数多くの音源が世に出回っているので、今も簡単に入手できる。
私が持っている音源はイタリアのfoyerというレーベルの30年以上前のもので、以前『素晴らしく音質がよい』との情報をどこかで読み、「手に入る機会でもあれば・・・」程度で、積極的に探そうなどとは思わなかった。

数年後、別のCDを探すために海外のネット通販を彷徨っていた時、アメリカで細々とやっている中古CDショップの販売リストから偶然見つけ、本体よりも輸送料が高くつく代物だったが、「絶頂期のマリア・カラスを高音質で聴けるなら」と取り寄せた。

届いたCDを早速聴いてみると・・・
高音質というよりも、むしろ優しい、自然な音だった。
現在、世に出回っているCDを写真で例えるなら(一応、写真のブログですからね)、暗い部分が黒潰れしてしまっている写真を技術を駆使して無理やり鑑賞に堪えられるようにしたものがほとんどだ。
その結果、必要以上に膨らませたりノイズを消したり、ボコボコ、キンキンと、聴いていて気分が悪くなる。

たとえセピアカラーで色褪せしている部分があっても、当時の香りや緊張感がほぼ原寸大で漂ってくる方がよっぽどいい。

CDの内容に大満足しながら付録の歌詞カード(笑)をパラパラ見てみると、面白い発見があった。
CDの以前のオーナー?が書いたと思われる落書きが数か所にあるのだ。

たとえば、第二幕の途中。☆は数か所に大きなもの小さなものが書かれているがこれが最も大きい。ここがお好きだったのかな?

つぎは第三幕の冒頭。ここで初めて文字が書かれている。
Violine!
淋し気なピアノが流れるシーンで、なぜバイオリン!なの?
だけど、文字は丁寧だ(笑)

ラストシーン。
☆trio!(トリオ!)
・・・ヴィオレッタが遺言をアルフレードに託し、アルフレードは後悔の嗚咽を上げ、ジェルモンはヴィオレッタに許しを請う三者三様の場面。

もちろん、新品ではこんなことはなく、
前の持ち主はどんな人となりだったのだろう?
落書きの意味することは何だろう?
などと想像するのも、中古品ならではの楽しみ方なのだ。

そうそう、カラスの歌声のことを書き忘れていた(笑)
ヴィスコンティの演出で迫真の演技をしたというこの公演のマリア・カラス。
歌声も伸びやかで力強く、劇場の観客も魂を奪われたことでしょう。
ただ、病気で死にゆくヒロインがこんな力強く歌いあげるのかというツッコミがあったかも・・・

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