先日、1969年末のNHK紅白歌合戦を観た。
坂本九、伊東ゆかりの司会で華々しく始まり、懐かしい歌手の唄を楽しんだが、紅白双方がなじり合うような応援があったり、坂本九の顔面を「月面クレーターのようだ(この年、人類初の月面着陸があった)」などと今の世なら一発アウト!のハラハラするような発言、場面がいくつもあった。

いつの時代でも自分の容姿を弄られて気持ちがいい人はいないだろうが、会場も視聴者も笑って済ませられた、おおらかな時代だったということか。

さて、写真は2008年に発売されたボブ・ディランのCDで、1963年4月12日のニューヨークでのソロライブの模様が収められている。
(真面目で熱心な)ディラン・ファンにはお分かりだろうが、この日の音源は公式には存在しない。
これはいわゆるブート・レッグ(海賊盤)なのだ。
終始安定した録音状態なので、観客による収録ではなく、裏方が仕掛けたものだろう。

今週末、若き日のディランを描いた『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』が上映されるということで、久々に邪悪なディラン熱にうなされている。
レイ・チャールズ、アレサ・フランクリン、フレディ・マーキュリーなど、他界したアーティストの伝記的映画はあったが、存命中の個人を扱った作品は珍しい。
写真家深瀬昌久を描いた『レイブンズ』が観たいのだが、こちらもぜひ観に行きたい。

長文ご容赦